ヘルメットの安全規格まとめ (PSC、SG、JIS、SNELL、ECE、DOT、MFJ)

バイク用品

こんにちは。MOTA です。

先日、Arai のヘルメットを購入しました。

脱ジェット。Arai のフルフェイス ヘルメット Quantum-J を購入しました。

ヘルメット選びの際、「〇〇 規格」や「〇〇 マーク」という言葉をなんとなく知っている程度だったので、具体的にどういう規格があって、それぞれどんなものなのか調べてみました。規格には、そもそもこのマークがなければ国内でヘルメットを販売してはいけませんよ、というルールから、ものすごく高い安全レベルが求められる規格、メーカーが独自に定めた規格など、さまざまなものがありますが、見た目ではヘルメットの安全性が分かりにくい部分もあると思うので、主な規格をまとめてみました。参考になれば幸いです。

必須規格

PSC マーク: 国による消費生活用製品の安全規制

消費生活用製品安全法の消費生活用製品の安全規制が PSC マークというものです。国が定めているもので、PSC は Product Safety of Consumer Products の略です。

実は、日本でヘルメットを販売する際に必要な安全に関する必須規格はこの PSC マークのみです。もっとあると思っていたのでちょっとびっくりしました。

乗車用ヘルメット (自動二輪車 or 原付用のもの) は PSC の安全基準に適合していないと国内で販売ができないため、普通に購入したヘルメットなら大丈夫だと思います。

※クリアしているものには以下のマークのシールが貼ってあります。
PSC マーク

消費生活用製品安全法とは?

消費生活用製品による一般消費者の生命又は身体に対する危害の発生の防止を図るため、 特定製品の製造及び販売を規制するとともに、特定保守製品の適切な保守を促進し、併せて製品事故に関する情報の収集 及び提供等の措置を講じ、もって一般消費者の利益を保護することを目的とします

消費生活用製品の安全規制とは?

消費生活用製品の中で、消費者の生命・身体に対して特に危害を及ぼすおそれが多い製品については、国の定めた技術上の基準に適合した旨の PSC マークがないと販売できず、マークのない危険な製品が市中に出回った時は、国は製造事業者等に回収等の措置を命ずることができます。これらの規制対象品目は、自己確認が義務付けられている特定製品とその中でさらに第三者機関の検査が義務付けられている特別特定製品があります

引用: 経済産業省 HP (https://www.meti.go.jp/product_safety/consumer/system/01.html)

任意規格

ここからは、任意規格についてまとめます。

日本の規格

SG マーク: 民間の安全基準・製品認証・事故賠償制度

一般財団法人製品安全協会が定める規格です。SG は、Safe Goods(安全な製品)の略です。

民間企業の自主的な製品安全の取り組みと、製品の欠陥によって生じた損害のてん補を円滑に行うことを目的としており、安全基準・製品認証・事故賠償がセットになっています。

SG マーク付き製品の特長として、製品欠陥による人身事故に対して、事故原因や被害の程度などに応じ、被害者 1 人につき 1 億円を限度として賠償措置が受けられるという点が挙げられます。以前は消費生活用製品安全法として位置づけられていましたが、現在は必須規格ではなくなりました。

ただ、SG 基準は PSC 基準と同等かそれ以上の基準をクリアしているので、PSC マークとともに取得されることが多く、この2つのマークは同じラベルで表示されていることが多く、ヘルメットにシールで張り付けられています。

ちなみに、125 cc 以下と排気量無制限の 2 種類の認証があり、安全基準は無制限の方が高く設定されています。詳細は法人のサイトで確認できます。

SGマーク制度について

https://www.sg-mark.org/aboutsgstd

JIS 規格: 日本産業 (旧工業) 規格

日本の工業標準化の促進を目的とする産業標準化法 (旧工業標準化法) に基づいた規格です。JIS は、Japanese Industrial Standards の略です。工業製品に該当するものの種類や寸法、品質、安全性などについて、基準値や試験方法などが定められています。

※ちょっと脱線しますが、JIS 規格は令和元年 7 月 1 日施行の法改正により、日本工業規格から日本産業規格と名称変更になっています。

https://www.meti.go.jp/policy/economy/hyojun-kijun/jisho/jis.html

乗車用ヘルメットの規格としては、最新の規格番号は JIS T8133 2015 となっており、耐貫通性試験や衝撃吸収性試験、あごひも試験などがあります。規格では、2 種類のヘルメットを規定しています。125cc 以下用と自動二輪車用です。

規格について詳細は日本産業標準調査会の HP で公開されており、以下の PDF で閲覧できます。

https://www.jisc.go.jp/pdfa5/PDFView/ShowPDF/RAEAAGHVn2s1y-9cVI4p

また、ヘルメットメーカーの SHOEI が実際の試験動画を公開しています。

 

海外の規格

SNELL 規格: 米国のスネル財団が定める安全規格

1957 年に米国で設立された非営利組織スネル財団が定めている規格がスネル規格です。ピート・スネルというレーサーの死亡事故をきっかけに、ユーザーがヘルメットの性能 (保護機能) を評価・判断できるようにと設定されました。ヘルメットのテストもこの財団が行っています。

スネル規格の概要については、公式サイトの説明がわかりやすいです。

http://thestory.smf.org/

とにかくテスト条件がシビアということで有名で、日本で定められている JIS 規格よりも厳しいものです。また、スネル規格は 5 年ごとに更新され、なんと、更新のたびに厳しくなっていくそうで、ヘルメット性能の向上に貢献している規格ですね。

2015 年版のオートバイ用ヘルメットの基準 (M 2015) に合格しているヘルメット リストを以下で確認することができます。Arai や SHOEI、Bell などのメーカーのヘルメットが載っていますので、気になる方は見てみてくださいね。

http://www.smf.org/certlist/std_M2015

ちなみに、5 年ごとに更新なので、2020 年版のスネル規格 M 2020 も財団の HP で公開されています。2015 年版との違いについても説明されています。

M 2020 スネル規格 (PDF)

M 2020 スネル規格 (PDF) カバー

ECE 規格: 欧州経済委員会が定める規格

欧州経済委員会が定めている規格で、ヨーロッパで広く使われている安全規格が ECE 規格です。ECE というのは、Economic Commision for Europe の略です。不定期に改訂され、最新は ECE 22.05 となっています。

SNELL 規格やこの後に出てくる DOT 規格と類似しているようですが、特徴として、ヘルメット下部やバイザーまでテストするなど、テスト試験範囲の基準がほかの規格よりも厳しくなっているということと、テスト方法について、ECE 規格の認証には、販売開始時ではなく、製造開始時にバッチ サンプリングが求められる点があげられます。最大で 50 のサンプル ヘルメットを指定検査機関に送って試験して、合格後に販売するというものです。

ECE はヨーロッパの規格ではありますが、世界的に認められている規格で、Moto GP や鈴鹿 8 耐などのレースでも使用することができます。

DOT 規格: アメリカ政府が定める規格

米国の運輸省が定めた規格が DOT 規格です。Department of Transportation の略です。ヘルメットに関する規格は、DOT 規格のうち、FMVSS 218 という法規にあたります。※改定は不定期

具体的な試験手順は以下のドキュメントが公開されているようです。

LABORATORY TEST PROCEDURE FOR FMVSS No. 218 Motorcycle Helmets

公道でオートバイ用に販売されるすべてのヘルメットが満たすべき最低基準を定めたもので、イメージ的には日本の JIS 規格と近いでしょうか。

メーカーや協会の規格

Arai 規格: メーカー独自の規格

アライが独自に定めている規格が Arai 規格です。

コンセプトとしては、試験室で行われる規格試験よりも厳しく予測不能な「現実の衝撃から護る」となっていて、例えば、同一個所の衝撃試験回数を増やしたりして、スネル規格よりも厳しい基準となっているそうです。

MFJ 公認規格: 公式レース出場用ヘルメット規格

財団法人日本モーターサイクルスポーツ協会(Motorcycle Federation of Japan)が定めた規格です。MFJ の公認レースには、公認シールが貼られたヘルメットでないとレースに出場することができません。また、出場するレースによって認定の種類が細分化されています。

 

ECE や DOT 規格取得済みの海外製ヘルメットを日本で販売したり使用したりしてもいいの?

ここまで紹介した規格の中で、海外の規格 (SNELL、ECE、DOT 等) の規格に適合し、その表示がある製品であれば、日本で販売したり、実際にかぶって走ってもいいのか?という疑問がわいたので調べてみました。

結論としては、PSC マークのないものについては、販売してはいけません = 公道をはしれない。ということのようです。

経済産業省が明確に NG を出しています。

PSCマークのない「乗車用 ヘルメット」にご注意下さい

海外で買って家で眺めるということなら問題ないですが、日本で通販などで入手したり、公道を走ったりするには、PSC マークが必須ということになりそうです。

 

いかがでしたでしょうか?参考になれば幸いです。

ではではー。